山崎ハコ Birthday Live 「縁−えにし−」 リポート

mixiの日記に5月18日のハコさんのライブについて書いたら、大輔から「荻大ノート」に書くよう言われたので、少し書き足した文章を投稿する。正直言うとまだ書き足りない気分だが、とりあえず、読んでいただきたい。
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一人の歌手を長く聞き続けていると時にエポックメーキングなライブに遭遇することがある。
昨日はそういう幸福な一夜だった。

山崎ハコさんというと・・・たしか1976年だったと思うが、TBSホールで行われた『パック祭り』で林美雄さんから「荻窪から駆けつけてくれました山崎ハコさんです」という紹介をされると、ギター一つで登場し「歌います」とひと言言うと「気分を変えて」を熱唱し、一瞬で私達の心を捕らえたデビューが今も心に残っているが、昨夜のライブも心に残るライブだった。

hako02.jpg「山崎ハコ Birthday Live  縁 -えにし-」
(5/18(金)六本木「STB139」)

亡くなった故TBSアナウンサー・林美雄さんの妻・Hさんから電話がかかってきたのは、10日ほど前だった。「山崎ハコさんから、ハコさんのコンサートに誘われたんだけれど一緒に行かない?」
もちろん「イエス」の答えしかなかった。
去年10月「しんゆり映画祭」で周囲の反対を押し切って上映時間4時間38分の「ヘブンズ・ストーリー」を上映したとき、ハコさんは、前日までツアー・コンサートだったのに、新潟から駆けつけてゲストトークに出演してくれた。Hさんも当日新百合ヶ丘の川崎市アートセンターまで来てくれた。
「人生は人と人との繋がりだ」と考える私にとって「否」の答えはあり得なかった。






六本木の「STB139」という会場に待ち合わせの時間より30分早い17時に行くと、開場時間1時間前なのに、すでに20人近い行列があり、その近くのベンチに和服姿のHさんが座っていた。「STB139」という会場は初めてだったが、「STB」の下に「スイート・ベイジル」と書いてある。

「スイート・ベイジル」と言えばニューヨークのジャズクラブで、1991年湾岸戦争の取材でニューヨークに行った時にロン・カーターのライブを聞いたことがある。全世界に店舗を展開するのに「ジャズ」という枠を取っ払ったのだろうと思った。チケットはすぐに完売したらしいが、「ヘブンズ・ストーリー」の「縁 -えにし-」で、山崎ハコさんが取り置いてくれていたので、私たちは6000円払って2階席に入場することができた。

コンサートは大まかに言うと二部構成だった。

第一部は、まずハコさんが故郷・日田の東渓小学校のために作った校歌「東渓の空」を歌った。
校歌というと荒井由実が長崎県立奈留高等学校の為につくった『瞳を閉じて』を思い出すが、ハコさんの母校も過疎化で統廃合が続き、生徒の気持ちを一つにする校歌がほしいとハコさんに依頼したそうだ。

1番の出だしは「美しいこの地球に ボクたちは生まれた 太陽の日差しあびて 私たちは歩くよ」という未来に対するストレートな気持ちを歌ったものだった。

そのあと「望郷」を歌った。二つの歌のトーンはまったく違っていたが、伝えたいものは同じだと感じた。その後数曲を経て「りんご追分」と「懺悔の値打ちもない」が歌われた。

その後安田裕美氏のギター・インストルメンタルの「ニュ−シネマ・パラダイス」を経て後半に突入した。

後半ハコさんは、この日の為に結成した「縁 -えにし-・バンド」を従えて歌った。
このバンドはスタジオ・ミュージッシャンによる急ごしらえのバンドのようだったが、実力はかなりのものだった。いつもはギター一本で歌うハコさんが身を任せてシャウトしていた。
特に今は亡き原田芳雄さんから「お前は将来この曲を歌うに違いない」と言われていたというエディ藩作詞の『横浜ホンキー・トンク・ブルース』はノリにノって歌った。

後半になって、ハコさんが明らかに変貌したのが感じられた。これまでのハコさんはコンサートで受け入れられようが、受け入れられまいが、自分の世界を観客に"ぶつけて"いた。それは、ある意味で潔い態度だったが、そのために「暗い」とか「マイナー」とか言われてきたのは否定できない。しかし、この日のハコさんは観客と「共鳴」しようとしているように感じられた。

「何故なんだろう」と考えていて思い当たることが一つあった。
それは、映画『ヘブンズ・ストーリー』への出演だった。

渋谷ユーロスペースでの公開時。ハコさんは毎日観客として「ユーロ」の客席に座り、観客の反応を見ていたという。多分そこで観客の反応に対する感受性が鍛えられたのではないかと思う。そして、自分か歌手として舞台に上がったときも、観客と双方向の回路が開かれたのではないだろうか。昨夜のハコさんには、明らかに、観客と共鳴しようという態度がうかがえた。
多分今後のハコさんのステージは大きく変わるだろう。

それから、一つ書き残しておきたいことがある。
最後にハコさんは、このライブの構成スタッフとして一人の人物の名前を口にした。
「高平哲朗」。「懐かしい!」と隣の席のHさんはつぶやいた。
そうだ!林美雄さんとも親しかったはずだ。それにしても、元気に生きていたんだ!このコンサートの感動には高平哲朗さんも一枚噛んでいたことを知ると少し胸が熱くなった。

帰りの地下鉄のなかでHさんに誘っていただいたお礼を言って家路についた。


hako01.jpg


コメント(3)

大輔 Author Profile Page:

本線とは関係ない話ですが、湾岸戦争の取材でロン・カーターのライブを観て来たのりさんの「行動力」に、ある意味脱帽です。(笑)このところカルメン・マキ、山崎ハコと良いライブを体験されていますね。僕も負けずに・・・今週末は日比谷の野音へ、ブルースフェスを観に行くつもりです。♫

のり Author Profile Page:

ライブの曲一覧です

【曲 目】
1.東渓の空
2.望郷
3.織江の唄
4.白い花
5.ヨコハマ
6.リンゴ追分
7.ざんげの値打ちもない

ニューシネマパラダイスのテーマ(安田さん)

~Enishi Band~
8.桃肌ピーチスキン
9.お年頃
10.Snow
11.東京港町気分
12.横浜ホンキートンク・ブルース
13.縁(えにし)

~アンコール~
14.おらだのふるさと
15.私が生まれた日
16.愛しき大地(Enishi Band)
 

のり Author Profile Page:

今頃気がついたが、ハコさんのライブの
18番「気分を変えて」がどこにも無い!

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