小田急線各駅飲酒 第9回 梅ヶ丘~幻の居酒屋を探して②

「小田急線各駅飲酒」、今回は梅ヶ丘駅。前回の世田谷代田駅よりははるかに居酒屋も多く、
これまでに寿司屋の「美登利寿司」などで飲んだことはあるが、自分で積極的に飲みに行く居酒屋はない。そこで今回も「居酒屋探し」を行うことにした。

梅ヶ丘なら世田谷代田と違って事前の「食べログ」を調べなくても入りたい居酒屋は見つかるだろうと、「ぶらり散歩」をすることにした。駅北口から歩いて5分、入ってみたい居酒屋はすぐに見つかった。看板には「花神」の文字。店内はよく見えないが、カウンターとテーブル1、2個の標準的な広さに見えた。

入店するとカウンターに客が一人、カウンター内には大将がいた。すぐ「いらっしゃい。初めてだね」の言葉。すぐこういう言葉が出てくるのは、大将が客をよく見ている証拠でまずは好印象。「初めてです。よろしくお願いいたします」と挨拶してカウンターに座る。
「今日はサッカーのW杯アジア最終予選オーストラリア戦があるから暇で新しい客は嬉しいね」と大将がひと言。


「何を飲みます?」と聞かれたのでメニューがないか見回すが、飲み物のメニューがない。
減点1。とりあえず、ビールで様子を見るかと「中生」を一つ頼む。食べ物のメニューは正面のメニュー板に色々書いてあったが、それらは刺身が中心だった。目の前に大皿があり美味しそうだったので、それを頼むことにする。「ツブ貝の煮付け」と「野菜」をお願いする。野菜はアスパラの水煮を中心に7~8種類の皿があったので「アスパラを入れてあと2つくらい見つくろってください」と注文。値段がわからないので若干の不安はあったが、ここは腹をくくって頼む。

出てきた「ツブ貝の煮付け」はとても美味しかったし、アスパラも本来の味をうまく引き出している。頑固そうな親父だが、かなりの職人と見た。

大将の話によると店は34年営業しているとのことだが、梅ヶ丘地元の客は少なく、自分の味を好きな遠方の客が多いとのこと。かなりの自信家だ。隣の60才前後の常連客も話しかけてきて、もう20年来の客でかつてはクレージー・キャッツの安田 伸・竹腰 美代子夫妻とよく飲んだ思い出話を始めた。多分この店はコアな金を持っている常連に支えられている店なのだろう。しかし、そういう店特有の "厭味な"感じはまったくない。それは大将の持っている"真っ直ぐな"人柄が大きいと感じられた。

入店して1時間たつ頃突然大将がメニュー板に「サザエの刺身 950円」と書いた。カウンター内のサザエを見るとかなり大きい。「どこ産ですか?」と聞くと「伊豆半島産」とのこと。以前新橋の「そうかわ」という店で伊豆産の同じくらいのサザエを食べたとき2000円以上したことがあったので、かなりお得だ。これは、私が客として試されていると感じ、「950円なら」と思い切って注文した。出てきたサザエを食べるとその"香り"が素晴らしい。「いい香りですね」と言うと、大将は「ニコニコ」笑って「そう言われると嬉しいね」と答えた。その笑顔をみただけで、サザエを注文して良かったと思った。

さて緊張の「お勘定」。日本酒も4合飲んだのでもしかすると7000~8000円するかなと思ったが、5000円でお釣りがきた。多分「また来るように」と少し安くしてくれたのだろうと感じた。しかし、この店に常連としてくるには、4000円弱必要だと感じた。私が居酒屋に出せる額は2000円台だ。
たまに、旨いモノを食って大将の笑顔が見たくなったらまた行こう!

コメント(1)

大輔 Author Profile Page:

ついに梅が丘まで来ましたか・・・私は実はここに住んでいたのです。80年代後半から90年代半ばまで。羽根木公園の梅、美登利寿司、懐かしい。でも飲み屋はどこ?と言われると困ってしまう。いつも六本木で飲んでいたからです。やはり本当の飲んべえは自宅周辺でも店を開拓すべきですね。改めてのりさんの後を付いて行きたいと思います。(笑)

コメントする