小田急線各駅飲酒 第3回 参宮橋
参宮橋は生まれ育った実家に近い駅なので、隅々まで知っている。現在も実家と職場に近いのでよく利用している。青少年オリンピックセンターが近いので、そこを利用するフリーの客が多いが、地元客も多く、昔から面白い居酒屋が存在する。かつては「劇団四季」も存在したので居酒屋で久野綾希子さんにお酌をしてもらったこともある。
地元で一番古い焼鳥屋「七福」は、1964年東京オリンピックの年の開店だ。35年前、この店で合宿中のバレーボール日本代表の大古選手と隣に座って飲んだこともある。ところがこの店の2代目マスターが今年1月急逝した。今後「七福」がどうなるのか心配だ。
最近参宮橋で私がよく飲むのは、「二代目 おいらせ」という店だ。
元々年配の夫婦が営業していたのだが、奥さんが亡くなり、その後マスターが入院したため、店の常連客が店主を代行していたのだが、入院中の老店主が死去したのち、2009年9月11日に、今の店主中森さんがあとを継いだ。
中森さんも客の一人だったが、料理人としてのキャリアを持っていたので、店の数少ないメニューを一新し、雑然とした店をリニューアルした。彼は昔大阪でテレビ局の大道具をしていたこともあるという。
私が初めて訪れた2009年11月には、焼き鳥、串揚げ、おでん、焼き魚にとどまらず、お好み焼きからカレーまで狭い店で50種類近いメニューを用意していた。客の食べたいものはすべて出す、というポリシーにしたという。初回この店のジントニックと野菜のピクルスが気に入った私は、その後よく通うようになった。
この店は本当に狭い。カウンター6席しかないので、客の多くは地元の飲兵衛の一人客だ。
去年10月、「おいらせ」は、東京12チャンネルの日曜ビッグバラエティ「激セマ繁盛店」で紹介された。
私もテレビ業界の端くれにいるので、撮影があると聞いたとき、「普段やっていないことはやらないように」とアドバイスしたのだが、やはりそういうわけにはいかなかった。撮影中、担当の女性ディレクターが急に注文を出したらしい。
「店の入り口近くに座っている客がトイレに行くのを撮影したいので、そのとき、トイレに近い席に座っているお客全員が店の外に出るところを撮影させてください」
この店のトイレは店の一番奥にあり、混雑時に入り口近くの客がトイレに行くのは大変だ。しかし、普段いくら狭くてもそこまではしない。後ろを通れるように、席を少し前にずらしたり、トイレの隣の席の客が、トイレのドアが開けられるように立ち上がるくらいだ。
マスターが「普段そんなことはやっていないよ」というと、女性ディレクターは言ったという。 「いえ、演出ですから」。
幸い放送では、そのシーンはカットされていた。放送では地元客を大切にする店として紹介されていたので、放送後番組を見た客が殺到することはなく、胸をなでおろす展開となった。
その後客もメニューも徐々に増え続け、メニューはとうとう70を超えた。金宮焼酎がこの店の基本なので、お勘定も安い。金宮焼酎(720ミリリットル)一本2400円がキープしてあれば、お勘定は千円台と財布に優しい。
小田急線各駅飲酒の3月末締め切りの原稿を休ませていただいています。こちらを休んだ理由は「映画に魅せられた人々」の場合と違い、原発事故の発生でした。破滅的な水蒸気爆発に毎日怯えていながら、居酒屋巡りをしている場合ではないだろうと思ったのです。まだ危機的状態を本当に脱したとは言い難いのかもしれませんが、精神状態を平常に戻すためにも4月末には「第4回ー代々木八幡」を入稿するつもりです。
先日の落語鑑賞でご一緒させていただきました「yoshiro4464」です。ご案内の通り、こちらにたどり着くことができました。それでは、参宮橋「おいらせ・二代目」で、またお会いしましょう!
「画像の中に見える文字を入力してください。」と、ありますが、どこに入力するのでしょう? ・・・・ようやく、わかりました。枠線が薄くてよくわからなかったものですから。