宮崎デジタル化計画 (3) ブラックアウト
ブラックアウトは航空・宇宙関係者なら誰でも知っている言葉だが、同時にあってはならない危険な状態を意味する言葉として、もっとも忌み嫌われている。
それは操縦士の下半身にGがかかり脳への血流が遮断されることによって起きる視野喪失を意味する。大変危険な状態で、すぐに回復しなければパイロットは失神し航空機や宇宙船は制御不能となる。
この「ブラックアウト」の報告が、デジタル宇宙を飛行中の惑星探査船「宮崎号」から入ってきたのは4月下旬のことだった。非常に微弱な電波で入ってきた「宮崎号」からの通信文を紹介しよう。
(引用開始)
大輔 様
漂流中の宮崎です、近況報告いたします。
以前 報告しましたが父のPCは不調で おらが氏のチェックの結果 修理不能、廃棄となりました。おらが氏が自分のPCを持って来てくれて、そのPCで前回メールを書きました。
驚いた事に 4月3日(日) おらが氏が新しいPCを購入して持って来てくれました。
しかし 2,3日するとネット検索すると違うサイトに行ったりし、続けると 全てのネットに繋がらなくなりブラックアウトしてしまいました。電源を入れ直しても 起動出来ません と表示されます。
おらが氏に電話したり、サポートセンターに電話し、使い方の部と故障の部をたらい回しにされたあげく指示された事やってはダメでまた電話する を繰り返し 最後は 初期化せよ との事。自分では出来ないのでおらが氏に来てもらい 初期化 してもらいました。
しかし また同じ事が起こり また電話の繰り返し おらが氏は毎週末 拙宅に来て初
期化をするはめになってしまいました。
先日も 「沼辺さんの講演 始まった頃かな?」など話しながら作業をしてくれました。
4月19日(火) 今度は HDDが壊れているので交換するように と表示されました。
サポートセンターに電話すると 今までは アレはやったか コレをやれ としつこ
かったのに「すぐに修理に出してください、壊れてたんですね」とあっさり言われました。
この3週間は何だったんだ!
PCを修理に出し 昨日またおらが氏からPCを借りて このメールを書いています。
詳細は、おらが氏から報告が届くとおもいます。
宮崎 朗
(引用終わり)
・・・というわけで宮崎デジタル化計画は発進以来最大の危機を迎えている。
現在起きているブラックアウトは、幸いにして飛行士の身体に生じた現象ではなさそうだ。しかしデジタル宇宙の中で情報を収集し発信するという機能が失われれば、それは単なるPC画面のブラックアウトにとどまらず、宇宙船宮崎号が我々の視界からブラックアウトすることにもつながる。
ここしばらく通信が途絶えていたので、地上では宮崎号がブラックホールに吸い込まれたか、どこかの(魅力的な)惑星に不時着してしまったのではないかとやきもきしていた。そこへ飛び込んできた宮崎号からの通信文は、まるで小さなガラス瓶につめられたメッセージだ。
これを正しく解読し救援の手を差し伸べる作戦は、すべておらが技術部長の判断にかかっている。一刻も早く危険なブラックアウトを繰り返す状態から該船を救ってもらえるようにお願いしたい。
そろそろ状況報告の写真がアップされるという話もあるのだが・・・もう少し待つことにしよう。
追記
最近妙なうわさを聞いた。宇宙船「宮崎号」が、これまでの航海で機体にこびりついた星屑や放射線の影響で延び放題だったひげや髪をすっかりきれいにそり落としたという。なんでも「ハローワークに行かなくちゃナ」とか言っているらしい。これはデジタル化の成果だろうか?それとも何かの予兆だろうか?何か知っている方がいたらここで発表してもらいたい。もちろん本人のコメントでもけっこうです。